『吾郎ちゃんの誕生日でファンミーティングのリハーサルでした。
サプライズだ！って花束をプレゼントに買ったの。
スタッフがケーキを用意してたの。
だから歌ったのHappy BBBを！
みんなで踊ったのHappy birthday！って皆んなで笑ったのカメラ回ってないのに本気サプライズだから！吾郎ちゃんおめでとう！』
12月8日の夜、自宅で慎吾のツイートを見て、吾郎は『本気のサプライズ』を思い返した。
本気、過ぎた…！
ファンミーティングの初日は12月14日。
大きな会場で有観客のイベントは久しぶりなので、リハーサルにも気合が入る。
とはいえ誕生日だし、ケーキの準備なんかはあるんだろうと吾郎は思っていたし、サプライズでハッピーバースデーなんかが流れたら、あぁ！と驚いた顔をする心づもりも十分あった。
何曲か、曲のリハーサルをして、相変わらずそろわないなーとゲラゲラ笑ったところで、リハーサル室の照明が落ちた。
来た。
と、吾郎は思ったが、流れてきた『Happy BBB』を歌っているのは。
「木村くんかー！」
「Happy Birthday！Wow！Big Bang〜♪」
タキシード姿の木村が、花束を手に颯爽と登場した。
単なるリハーサル室にオーラが満ちる。
「誕！Yeah！」
「turn！yeah！」
「Hppy！」
「happy！」
木村と、しんつよの間でコールアンドレスポンスが起こる。
ちなみにスタッフ陣も驚いている。スタッフとして用意したケーキと、慎吾が買ってきた花束を持って出ようとしたポーズのまま、固まっている。
「Happy Birthday♪吾郎」
ばさっ！と渡された花束は、中心に向かって白からピンクの色合いが強くなる、華やかなバラの花束。
本数は皆まで聞くなの49本。
縁起でもない本数ともいえるが、年齢分の薔薇の花束は、お約束中のお約束だ。
「あ、ありがとう…。ピエールドロンサールかな、綺麗…」
「ごろちゃん、おめでとーう！こっちにも花束あるよ！」
慎吾が買ってきた花束は、色とりどりの花を使った元気な花束。
「ありがとう…」
「ごろさん、ケーキもね！」
シンプルないちごのバースデーケーキを剛が持ってくる。
「ありがとう〜」
「まぁ、これはスタッフさんセレクトだけど」
「あっ！ありがとうございまーす！」
スタッフに向けて吾郎がお礼を言い、木村がさっさとキャンドルを差していく。
大きな『４』と『９』のキャンドルにはすぐ火がつけられて。
また、リハーサル室の照明が落ちた。
えっ？と吾郎がケーキから顔を上げ、SMAPの『Happy Birthday』が流れる。
「自分がすーごくー、小さくみーえてーー！
意味なく思えてくーる、夜があるーー！」
「絶対っっ！！ダメでしょ！この人はー！！」
「やりたいこーとはー、やめられなーいとー！
空をにらみつける、朝もくるー！」
「Everyday 気持ちは揺れる♪
Everyday 悩みはつづく♪」
ラジカセ片手に入ってきた中居の歌声に、木村の声が重なる。
「だけど投げずに、生きてゆくのは〜♪」
「誰かといっしょに、笑うためさ♪」
剛、慎吾も歌いだし、マイクを向けられたスタッフもうろ覚えで歌いだす。
「出遭えてしあわせだあってー！伝えーつづけるぅー、はっぴはっぴばーすでーー！」
最後はソロで歌い上げた中居は、クラッカーを吾郎に向けて鳴らし、そのままリハーサル室から出ていった。
木村も、タキシード姿で出ていった。
そして、そのまま帰ってこなかった。
「…。二人これだけ…！？」
「びっくりでしょ」
「びっくりだよ！マジでびっくりだよ！」
慎吾から切り分けられたケーキ（バースデープレート乗せ）を受け取った吾郎が、二人が出ていったドアを見つめたまま言う。
「あの忙しい二人をね、ここまで呼ぶのも大変だったんだからー」
「中居くんはダメでしょ！絶対ダメでしょ！」
「だからすぐ帰ったんでしょうが！」
剛がケーキを小箱に移しながら「後でケーキはお届けしとくからね〜」と言い、絶対つよぽん、二人の家知らないじゃんと突っ込まれる。
「え、ほんとに？ほんとに帰ったの？」
「帰ったよ。忙しいんだから」
「マジで？」
「マジだって。つよぽん、ケーキのお裾分けは、えーっと。スタッフさんにでいんじゃない？」
「そうかな」
「マジで帰ったの？」
最終的に駐車場まで吾郎は足を運んだが、二人の車は影も形もなかった。
「マジでサプライズだったわー…」
49歳になりたて吾郎様にNAKAMA to MEETINGで会えるのを楽しみにしています。
２０２２年１２月８日